第7章 ■汗と制服
ナナバとゲルガーは用事で一緒に帰れないらしく、今日はモブリットと2人で帰ることになった。
喧嘩してなければ嬉しい限りだったんだけどね。
無言のまま帰路を歩く。額や胸の間から出る汗がとにかく気持ち悪くて、家に帰ったらクーラーに当たるんだ……と心の中で呟いた。
しかし悲劇は起こる。
「え、うそ」
むっつり黙り込んだままお互いの家に着いてしまい、残念に思いながら仕方なく家の鍵を出そうとした時だった。カバンのいつものポケットに鍵が入っていなかったのだ。最後に見たのは昨日だったので、家の中で無くしたのかもしれない。
どこにやったのかと、昨日帰ってきた時のことをシミュレーションする。
鍵はたしか、帰ってきてから……そう、シャツのポケットに入れたんだ。それで、汗が気持ち悪くてすぐにお風呂に入って。あ、カゴの中にシャツを入れたんだ。
参ったなぁ。お母さんもお父さんも仕事で誰も家にいないのに。
汗が頬をつたい顎から滴り落ち胸の上に落ちる。
シャツの濡れた部分だけが肌に張り付いていた。私は顔をしかめる。
「……………………うち来るか?」
「えっ」
隣の家の前でドアに手をかけていたモブリットがそう言って私を見ていた。一時休戦という事だろうか。
高校生になってからはお互いの部屋に入らなくなってしまっていた為、これはチャンスだ!とニヤけそうになる。我慢したけど。
「…お言葉に甘えようかな」
喧嘩は謝るまでが喧嘩なのだ。