第2章 ゼロ距離
-数分前・第四分隊副長執務室-
トロスト区奪還作戦で捕獲した被検体、ソニーとビーンが殺害されてから、調査兵団幹部はその犯人を突き止めるための極秘任務を古株の団員のみに打ち出した。作戦実行は1ヶ月後の壁外調査中にて予定しており、現在は第四分隊の当日の動きと不測の事態に陥った時のマニュアルを、私の補佐であるジェスと作成していたのだが…。
「ブーーーッ!!!!」
ジェスの作った資料に目を落とした直後、飲んでいた紅茶を吹き出してしまう。
「うわっ大丈夫ですか?おっぱい揉みます?」
「も、揉まん!!ゥォゲホッゴホッ!何だこの書類は?!!」
執務用の机から立ち上がると、応接用のソファでペンを走らせていた彼女に慌てて詰め寄り、目の前に件の書類を突きつける。
「あぁなんだ。私と副長のラブラブ生活に足りないものは何かリストアップした物ですね。特にこのグラフ、副長の素直さが異常に少ないんです!それ以外に問題なんてないと思うんですけど…」
「問題大アリだ!!この忙しい時にお前はっ!何でそんなに冷静でいられるんだ?だ、大体なんだラブラブ生活って、お前の恋人になった覚えはないぞ?!」
「え?私たち付き合ってますよね?」
「え?…………」
真顔で言われたもんだからそんな出来事あったかと過去を思い返す。
ハンジ班に配属されてきたばかりの頃のジェスは、自分を表現したり前に出たりするのが苦手だったようで、周りに上手く馴染めていなかった。そんな彼女を何かと気にかけて面倒を見ることも多かったから、自分がなにか誤解させるようなことをどこかでしてしまったのかもしれない。
ううむ……。
…………………………?
「って、やっぱり付き合ってないじゃないかー!」
「残念!騙せなかったか〜」
「よく見たら今してた仕事も全部落書きだし…なんだよ"馬面に乗った副長"って…はぁ。ハンジさんといい、お前といい……はぁあ……」
「あ!副長のため息!!ため息すると幸せ逃げちゃうんですよ!…なので私が副長の幸せ吸っておきますねスゥゥハァスゥハァ」
「食い気味に変態じみたことをするな!」
さり気なくジャンを貶してるとわかっているのだろうか?そして絵の中の俺はなんでジャンに乗っているんだ。ジャンに恨みでもあるんだろうか