第3章 My Honey
コニー・スプリンガー、サシャ・ブラウス、ジャン・キルシュタインなど、次々に順番が回っていく。
自己紹介が後半に進み、アルミン・アルレルトまで来たところで、ふと、隣の少年に目がいく。なんとなく既視感のある顔だ。
これといって特徴的な容姿をしていなかったが、真っ直ぐと姿勢を正しているため、壇上だと少し大きく見える。
ついにその少年が敬礼し、名前を叫ぶ。
その名前を聞いた途端私は驚愕し、少年から一切目を離せなくなってしまった。
「ウォールローゼ南区ラクリッツ出身、カイル・ナイトレイです!ひとり親で自分を育ててくれた母に外の世界を見せたく、調査兵団に入りました!」
「ラクリッツ?…モブリットと同じ出身じゃないか。彼はもしかすると、私の班に来るかもな」
ハンジ分隊長への返事も忘れて、真っ白になった頭の中で彼の言葉だけを反芻していた。
ひとり親、ウォールローゼ出身、外の世界…。
私にコンタクトを取らなくなった後のジェスになにがあったのか。熟考しても理解することは出来なかった。ただ根拠の無い推測が脳裏を掠めるだけだ。
式が終わり、新兵も在籍兵もぞろぞろと兵舎に戻っていく。私の視線は依然彼に注がれたままだ。