第13章 モブリットさんを匿う話
「……ねえ」
「ん?」
「……キスしてよ」
「………うん」
柔らかい感触が唇に降ってくる。
乾いた彼の唇が私の唇にくっついて、ちゅっという音を立ててゆっくり離れていった。
「……はぁあーダメだ。こんな時なのに……」
大きなため息をついて、彼の頭が私の肩口に寄せられる。両手は絡め合わせて壁に縫い付けられて、足の間には彼の片足が挟まっていた。
キスが不満だったのかと私は口をとがらせた。
「……なによ」
「…………シたい…」
「………シたら?」
「………………ベッドへ」
モブリットの腕が背中と膝裏に回ると、ひょいと横抱きにされて2階へ上がっていく。
部屋のベッドに押し倒されると、また唇を重ね合わせる。
手馴れた手つきでモブリットの手は私の体を這い回った。
「久しぶりなのに随分慣れてるのね?娼婦でも買ってたの?」
冗談のつもりでからかうと、少しひりついた顔で見つめ返される。
「…そういうのおもしろくないぞ」
「……じゃあ信じさせて?」
「…ったく」
その日の夜は、モブリットが私の要望に応えて抱かれている間は四六時中愛を囁いてくるという、熱い時間となったのだった。