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【短編集】海を見に行こう

第13章 モブリットさんを匿う話


トロスト区中を隅から隅まで捜したけど、捜し人は見つからずに肩を落としたまま家へ戻ってきた。

とっぷり沈んだ太陽の代わりに空には月が浮かんでいる。星はなかった。

今頃どこでなにをしているんだろう。
ご飯は食べてるのかな。体調は崩してないかな。

_そもそも生きているのかな。

頭を掠めた、処刑される恋人の姿をかぶりを振って追い払う。
そうだ、私ばかり暗い気持ちになったってしょうがない。今日はご飯を食べて寝て、明日の捜索に備えよう。

ぺちぺちと頬を叩いて気合を入れ、やれることをやろうと家の戸を潜った時だった。

知っている人影が2つ。
家族の肖像画を飾ってある暖炉の前に立っていたのだ。
その内の1人は、私と恋人の1周年記念の額面を手に取っていた。


勝手に入ってたのはそっちのくせに、私の気配に気づくと警戒したような様子になっている。

私は構わず、額面を持っていた方に走って飛び込んだ。

「お帰りなさい…!心配したのよ、モブリットっ」
「……すまなかったジェス。ただいま」

大きな声で泣いて近所の人に怪しまれないように、恋人の胸に顔を埋めて沢山泣いた。
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