第12章 ▲紫苑
「いやぁああああ!!!やめて!!来ないでええ!!」
すぐそばから女性の断末魔が聞こえて、地獄の中で生き残っていたらしい兵士が先程の奇行種に掴み上げられていた。
彼女と目が合ってしまった。
涙で顔を歪めて、鼻水を垂らして、剥き出した歯はガチガチと震えていた。
「た、すけて……」
足がガクガク震えていた。
平地での戦闘なんて、勝ち目がない。訓練で使う模型と違って、相手は生きている奇行種だ。もしアイツの狙いが彼女ではなく自分に向けば、あの大きな手で掴まれてしまえば逃げ場はない。生きて家族に会うこともできなくなる。
それでも俺は奇行種の首に刺したワイヤーを巻き取り、ブレードで斬りかかっていた。
「あぁぁぁぁあ!!!」
叫ぶことで恐怖を払拭しようとした。
先程よりは震えは収まっていたがそれでもやっぱり怖かった。
俺の体は抵抗も虚しく掴まれていたから。