第12章 ▲紫苑
頭に叩き込んだ陣形を思い返しながら、そろそろ後衛と合流する頃だと黒の信煙弾を打ち上げる。
頭のすぐ後ろで巨人の足音がした。
「うわぁあああ!!」
気合いで高く飛び上がり、やっとの思いで後衛と合流した。
「なん、だこれ……」
見渡す限りに広がる血の海と、欠損した死体、飛び散った四肢に絶句した。
記憶した陣形がそのまま進んできているとするなら、この地獄の光景は唯一の希望と信じて向かってきた後衛によって作られているものだった。
落ちていく体がスローモーションのようだった。
地面スレスレで体制を立て直し、トリガーを引く。
アンカーは一際大きな木に刺さり、奇行種との距離を稼ぐことに成功した。
…あの口元のほくろは…。
込み上げてきた吐き気を抑えきれず、木の上から激しく嘔吐する。
同室でいつも自分を茶化してきた同期の口元には特徴的なほくろがあった。
出陣するまで、緊張していた自分のためにおちゃらけていた彼の目が地面に飛散し、下顎から上は噛み切られたように何も無く、かろうじてくっついていた長い舌が地面を舐めるように飛び出していた。
忘れようとすればするほど頭にその光景が焼き付いてまた吐く。どうして自分はこんなにも無力なんだ。