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【短編集】海を見に行こう

第12章 ▲紫苑


隊服や外套についた人の血が信じられずブレードを持つ手が震え足が竦んで動かなくなってしまった。
立っている木の目の前には巨人が先輩を喰らっているのに。助けなければいけないのに。

「はぁ、はぁ…はぁ…!」

浅い呼吸ばかり繰り返して、虚ろな死体の目から逃れようと立体機動に移る。

悔しいくらい体は訓練通りに動いた。
俺が動いたことに反応して、座り込んでいた巨人が死体を吐き出し追いかけてきた。速い。図体が小さいからその分スピードがあるようだ。
遭遇したのが巨大樹の森の中でよかった。


巨大樹の森に拠点を設置するため、ジェス班は二手に分かれ、作業を行っていた。
腕の立つ分隊長と副長は全隊を守るために遊撃班に加わり、伝達があり次第巨大樹の森を飛びまわり巨人を討伐していた。

そんな時に運悪く、俺の班は奇行種に遭遇してしまった。次々と喰われていく仲間に理解が追いつかず、逃げることしかできない。

(くそっ!)

ひとまず生き残っている後衛と合流して体制を立て直すしかない。
左右のアンカーを木の高い位置にある幹に刺し、振り子のように飛ぶ体を回転させ入り組んだ枝の隙間を掻き分けて飛ぶ。

隙間に巨人が嵌って少しでも時間稼ぎができないかと思ったが、振り返った先では巨人が元気に変な走り方で迫っていたので血の気が引いた。
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