第12章 ▲紫苑
「私は…理不尽な指導に納得がいきませんっ…ここまでする必要がありますか?この暴力になんの意味があるんですか!
私はあなたのストレスを発散する道具じゃないんですよ!そんな上司を、誰が助けたいと思うんですか!」
「モブリット!」
ついにハンジさんから顔を引っぱたかれてしまう。
本当に分からない。どうしてそこまでこんな分隊長を大事に思えるのか。
「いい、やめろハンジ。」
「ですがっ」
「彼は間違ったことを言ってないよ」
もう1発振り下ろされそうになる平手を、俺から離した腕で分隊長が止めた。
すぐに怒声が飛んでくると思っていたので意外だった。
「そうだモブリット。壁外で私が死にそうになっていたら絶対に助けるな。見捨てろ。逃げて逃げて生き延びるんだ。…でなければ私がお前を殺す」
据わった目にゾクリと背が凍る。
この人、本気だ。
「…死人がどうやって殺しにくるんですか」
「さあな。枕元にでもでてやるさ」
笑顔になった分隊長に初めてしごかれた時のことを思い出した。どうしてこんな時に笑顔なんか。
満足したように背を向けた彼女の気持ちを理解するなんて永遠にできない気がした。