第12章 ▲紫苑
「…みんな、分隊長が好きなんだよ。モブリットにはまだ分かんないかもだけど」
「……」
「さあ痴話喧嘩もそこまで!基礎訓練始めるよー!」
「もー!副長!痴話喧嘩じゃないです!」
「そうですよ!誰がこんなやつと!」
副長は、キャットファイトを続けそうだった先輩方の首根っこを掴んで止めさせると、彼らにだけ腕立ての回数を多く振り分けて訓練を開始した。
『まだ分かんないかもだけど』
腹筋をしながら副長の言葉が脳裏を掠めた。
自分に分隊長を心から尊敬するような瞬間が来るとは思えずに、さっきは何も言えずに黙るしかできなかった。
副長はそれをわかっていて…理解を示しているような雰囲気だった気がする。
副長がそこまでわかっていて、この体制を変えない……分隊長のやり方を認めるような理由があるんだろうか?
考えても考えてもわからず腹筋がキツくなってきたので、今は訓練に集中しようと頭の中を空っぽにした。