第12章 ▲紫苑
『バーナー。立体機動をつけたら戻ってきなさい。装着時間は3分よ』
『え?!精一杯やっても5分はかかりますよ!できるわけが、』
『巨人に言い訳は通用しないわ。行きなさい』
『……はい』
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『バーナーァ!!そんな動きで生き残れると思っているの?!ガスを吹かしすぎよ!もっと節約して飛びなさい!』
『やってますよ!これ以上は無理です!!!』
『上官の命令に逆らうな!!地面スレスレまで落下してからガスを吹かすのよ!遠心力をもっと利用しなさい!』
『そんなすぐに……うぐっ?!』
『誰が地面に落ちてこいと言った?!さっさと体制を立て直して飛びなさい!』
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思い出すと頭痛がしてくる……。この頭痛も頭にコブを作ったせいだし……。
訓練兵団にいた頃は自分のスタイルで高評価を取れ、上位10位以内の座にまで上り詰めた。
それを180度変えるような訓練で、すぐにあれもこれもできたら苦労しない。それを分隊長はわかっていない。
「はあ……」
「でも羨ましいぜ。美人の分隊長と非番以外は一緒にいられるわけだろ?壁外調査の日まで、調査兵は訓練か座学漬けだもんな」
「確かに美人ではあるが…全く嬉しくないね。あの鬼教官ぶりを見たら、お前も考えが変わるよ絶対」
「どうかなー?俺、その気があるからな。厳しく責められたらと思うと……」
ぽっと頬を染め乙女のようなポーズをする同期の頭を叩いてベッドに入る。ぶーぶーと文句が聞こえてきたが無視だ無視。
今はとにかく、あの女を見返すための英気を養わなければ。