• テキストサイズ

【短編集】海を見に行こう

第12章 ▲紫苑



入団式は雨天決行だったため、雲が残るが晴れた空に気分が良くなる。

俺は調査兵団本部の廊下を早歩きしていた。
配属先の班へ挨拶に伺うためだ。

キース団長によると、配属先の先輩たちは皆訓練場で訓練中、とのこと。今日伺うことは団長から伝えて頂いているので急ぎ足で向かう。お待たせしては申し訳ない。




__しかし訓練場に到着すると、あまりの光景に俺は言葉を失った。



そこには、1人の団員にボコボコにされ尻をシバかれている先輩たちの姿があった。

無表情で「速さが足りない」だの「巨人の餌」だの言っている女性は、入団式の時団長のそばにいたため知っていた。

その女性や、唯一シバかれていないメガネの先輩に鋭い視線を送られ慌てて敬礼する。

「第94期訓練兵団から来ました、モブリット・バーナーです!精一杯頑張ります!」

握る拳に汗をかく。未だに地面に転がされている先輩に自分を重ねてしまった。
どうかこの人が分隊長じゃありませんように……。メガネの人が分隊長でありますように……。

「おー随分いい目をする新人じゃない。どお?ジェス分隊長」
「ジェス分隊長……」

当然メガネの人の名前ではない。

「ハンジ。易々と判断するんじゃない。けど……」

ふっと微笑まれ不覚にもドキッとする。

「確かに。良い目だわ」

彼女の険しく恐ろしい表情は、顔の彫りが深く美しかったからだと知った。

……しかしそんな考えも一瞬で吹き飛んだ。体とともに。
/ 158ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp