第12章 ▲紫苑
______ッ!!!
ドンッと体に衝撃が走る。
驚きに見開いた目にはあなたの顔が映る。
あなたは必死な顔で俺に手を伸ばしていた。
俺はあなたの声を知ってるはずなのに何も音が聞こえない。
________さ、ッ!!!!
*
ゆっくり意識が浮上する。
見慣れた天井だ。
窓の外はまだ白み始めた所で、部屋の中は薄暗い。
(……あ)
ベッドから下りると床に水滴が落ちた。
(……涙なんてもう出ないと思っていた)
ツンとする鼻の感覚が徐々に強くなっていく。
次々死んでいく仲間に麻痺していたはずの心が軋んで痛む。薄れていたはずのあなたの記憶が蘇る。
よかった。俺はあなたを忘れていたわけではなかった……。
昼からの壁外調査まで、まだ時間はある。
本棚から一冊の日記を取り出して椅子に腰かける。
少し、昔を思い出そう。