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【短編集】海を見に行こう

第3章 My Honey



リンゴを食べ終えた後は、私の部屋へ行ってだらだら過ごしたり、本を読んだり、他愛もない話をして時を過ごすのがいつものパターンだったが、今回私は思い切って聞きたかったことを聞いてみることにする。
ベッドを背もたれにして本を読んでいたモブリットにベッドの上をころがって近づく。

「ねえ、モブリット。」
「ん?」
「……来年はやっぱり、志願するの?」

ページを捲っていた手が止まる。

何か考え込んでいたモブリットは、ゆっくり本を置くと改まって向き直った。

「俺は、調査兵団に入る」

迷いのない真っ直ぐな目が私の姿を映す。

「……外へ出るなんて…命を投げ打つほどの価値があるようには思えない。私には」
「…ジェスは、巨人が恐いか?」
「え?」

さすがに怒ったり、反論してくるかと思ったのに。
意図の読めない質問に頷いて返す。
大きくて強かったはずの、朝まで隣にいた父さんの命を一瞬で消してしまった巨人は、恐い。

「よく考えるんだけど…恐いっていうのは、よく分かってないから感じる気持ちなんじゃないかって。巨人はどうして人を襲うのか、どこからやってくるのか…知ることが出来れば対処出来る方法も増えて、人類はもう巨人の脅威に晒されることもなくなって、誰でも壁の外に出られるようになるんじゃないかって」
「……」
「ジェスは嫌かもしれないけど、俺はいつか2人で壁の外を見て回ってみたいんだ。お前の好きな花がもっと咲いてるところだってあるかもしれないって考えるとさ、連れてってやりたいってどうしても思うんだ」
「えっ」

優しい顔でそう言ってのけたモブリットの言葉に奥歯に砂糖を塗りたくられたような歯がゆい気持ちになり、顔が熱くなっていくのを感じる。急に何それ!反則じゃん!
黙った私の様子で気付いたのか、モブリットも真っ赤なリンゴみたいに顔を赤くした。
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