第11章 結婚しよ!
「ねえ、モブリット」
「なんだよ」
「……好きだよ」
「!」
潤んだ瞳が不安そうに揺れ、一瞬モブリットの心に隙を作った。
ジェスが、恥ずかしがってる…?
人前で何度も何度もプロポーズしてくるような、あのジェスが?
ドキン、と胸が高鳴ってしまう。
嘘だ。お、俺がジェスにときめくはずが…。
ライバルへの急な感情に戸惑い、動けなくなってしまう。気付けばキスまであと数センチだった。
しまった、と固く目を瞑る。
……しかし、唇にはなんの感触もしなかった。
「……モブリットのキス待ち顔頂きましたー!!」
「、はっ?!」
「やばー!!ちょー!かわい!かった!!んですけど!!」
「うぅうるさい!」
ゲラゲラ笑いながら地面をころげ回る彼女に声にならない怒りを感じながらその場を走り去った。
もし、あのまま本当にキスをしていたら…。
自分はどうなっていたのだろうか。
「…くそ、」
ドキンドキンと痛む胸に小さく悪態をついた。