第11章 結婚しよ!
走り込みが終わり、訓練場に戻らなければ行けないのだが、笑った足が言うことを聞かず地面に仰向けに倒れる。
たった50周でこうなってしまうなんて、鍛え方が足りないのだろうか。
「そんなふうに無防備にされたら唇奪われちゃいますよー?」
否。
自分を180度違うところで見下ろしてくる彼女のせいである。
訓練兵時代からずっと、ジェスは優秀だった。
汗をかいているような所は1度だって見た事がないし、座学中も、態度は悪い癖にわからない問題はいつも無さそうだった。
努力して、努力して、それでも成績優秀者に入れなかったのに。
そんな気持ちがモブリットの、ジェスに対する対抗心を燃え上がらせ、冷静な判断力を奪う。
何がなんでも勝ちたい。
先程は、それだけを思いがむしゃらに走っていた。
勿論最後は追い抜かされたが。
そんな相手に恋愛感情を持つなんて、モブリットにとっては難しい話なのだ。
「やれるもんならやってみろ」
「ホントにしちゃうよ?」
絶対に避けてやる。
そして、何に対してもドライな彼女が唯一ひたむきな、自分への愛情を…その鼻っ柱を折ってやるんだ。
下りてくる顔に身構えいつでも起き上がれるようにした。