第10章 ▲ラットの堕地獄
「私は…いや、俺は……あなたが好きだ、ジェス」
傷ついた顔が泣きそうに歪んだ。
そう…。あなたは自分が傷つくとわかっていても、叶わないとわかっていてもそれを言葉にしてしまうのね…。
この残酷な現実で、自分の心をありのままにさらけ出す彼のなんと美しい事か。
私と違って壊れやすい心と体であるのに、思い描くままに行動する彼の生き様は私の胸を打つ。
私はあなたに殺されたい。
「…私の体は、巨人の力を宿している。それはハンジの言っていたように間違いない」
真実を教えれば、用済みの私はあなたに殺してもらえる。
私の存在理由はもはや、それだった。
モブリットははじかれたように顔をあげると、ノートとペンを掴んで夢中で私の話を聞いた。
「故郷では、この壁内の世界を…」
「モブリット!!」
全て話してしまおうとして所で、顔を青くしたハンジが戻って来る。慌てた様子の彼女は言った。「ウォールマリアが陥落した」のだと。