第10章 ▲ラットの堕地獄
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今度は顔を強く殴られ、複数の鈍痛と同時に意識も復活した。
目を開けるとハンジとモブリットの立ち位置が変わっていた。モブリットの拳は皮膚がめくれて、私の血がついていた。…慣れないことするから。
「ねえ…もういい加減話してくれよ……なにか理由があったから私たちを騙してた、そうだろう?何か言ってくれないと、私たちだって…!」
「ハンジさん」
頭の上から降ってくる声は震えていた。
それを見上げる気力は残っていない。見る勇気もない。
存在理由を戦士に求めたばっかりに、ハンジを泣かせてしまった。
どうしてこんなことに。私に笑いかけてくれたハンジはもういない。私たちが出会ってしまったから。
…いや、そもそも私が生まれてこなければ良かったんだ。
私が泣くことは許されない。
「ごめん…少し休憩してくる」
拷問部屋の重い扉を開けてハンジは出て行った。
思いがけない二人の時間。
部屋には私の体が修復され、蒸気の立つ音しかしなかった。