第9章 モブリット生誕記念『今日の主役』
青みがかったシャツをモブリットさんの手が往復する。
わかります。私も初めて見た時そんな反応になりましたから。本当に肌触りがいいのだ。
常に身につける物だし、多忙なモブリットさんのために、衣服くらい心地いいものを身につけて欲しかった。私の勝手な考えだけど。
そうした気持ちを伝えると、ふとモブリットさんの手が止まった。余計なことを言っただろうかと不安になり顔を覗き込む。
しかし次の瞬間、顔を見ることは叶わなくなった。がっしりとした腕を背中に回されたことによって。
私はモブリットさんにひしと、抱きしめられていた。
そう理解した瞬間全身が発火したように体温が上がる。
「ももも、モブリットさん?!!ど、どうしたんです?!!」
「ジェス…ありがとう……。君の細やかな心遣いに、私はいつも助けられている」
「そんなことありましたっけ…?」
「あったとも。そのお陰で、俺は体調を崩すことが無くなったんだから。この料理だってそうさ。できる範囲で様々な工夫が施されているな」
「モブリットさんに少しでも喜んで欲しくて……」
「ジェス……」