第5章 医者と患者と約束
約束を交わすと彼は上着を脱いだ。
新一・医者
「!!!」
朔哉
「…見せ物じゃねぇ。早く済ませろ。」
痛々しい傷痕の数。
これを信用してないであろう医者である私に見せるのはとても勇気のいる事だ。
新一君から医者や看護婦を信用してないと聞いていたのでビックリした反面嬉しかった。
医者
「ありがとう。」
朔哉
「…礼を言われる覚えはない。」
確かに彼にとってはそうかもしれない。
でも医者としては嬉しいのだ。
その後の彼等のやり取りを見て…
医者
「私も朔哉君にそれだけ信頼されたいものだ。」
朔哉
「『約束』守ればいいだけだろ?」
医者
「そうだね。それじゃこの辺で失礼するよ。」
朔哉
「…ありがとう。」
新一・医者
「!」
医者
「どういたしまして。」
まさか彼から「ありがとう」と言われるとは思わなかった。
これは私も約束を守らねばならないな…。
そう思いながら彼の病室を後にした。