第5章 医者と患者と約束
ー医者視点ー
新一君と言ったかな?
あの少年は朔哉君が点滴で眠ってる間私にこう言って来た。
新一
「あの…ちょっといいですか?」
医者
「どうしました?」
新一
「実は朔哉の事で…。」
そう言う新一君から朔哉君が小さい頃から病院が嫌いな事や、医者や看護婦を信用してない事など色々教えてくれました。
医者
「そうなんですか…。」
新一
「たがらもし、朔哉が目を覚ました時混乱しないように僕は朔哉の傍にいます。
そして朔哉の様子を見ながらこれ以上は無理だと判断した時は先生に合図を送ります。」
医者
「分かりました。」
そして朔哉君が目を覚ましたと連絡があり診察したのですが…
医者
「……。では胸の音を聞かせてくれますか?」
朔哉
「!……っ…。」
新一
「嫌…なのか?」
朔哉
「ごめん…。それは出来ない。」
新一
「でもさっきは体拭いたじゃねぇか?」
朔哉
「それは…。」
新一君が首を横にふり私に合図を送って来ました。
医者
「朔哉君。」
朔哉
「………。」
医者
「無理をさせてすまない。気が向いたらまた呼んでくれるかな?」
朔哉
「………。」
ポンっと手を頭に乗せ立ち去ろうとした時だった。
朔哉
「誰にも言わないと約束…出来るか?」
そう言った彼は震えているように見えました。
朔哉
「絶対だからな…。約束を破ればいくら新ちゃんが一緒だろうが病院には2度と来ない。」
医者
「分かった。約束だ。」
そう言って指切りを交わした。