第3章 ぬくもり
新一の手を借りて起き上がるとほぼ同時に蘭が氷枕と飲み物を持って来てくれた。
朔哉
「蘭ちゃん!?」
新一
「あー、お前がいきなり倒れたもんだから蘭に助っ人を頼んだんだ。」
蘭
「新一からメールが来てビックリしたんだから。それより朔哉起きて大丈夫なの?」
朔哉
「…少しなら…。」
病院に行くのが嫌で渋々着替える事にしたとは言えない。
蘭
「あっ…もしかして着替える?」
新一
「あぁ。こいつ汗が凄いから着替えるついでに布団も替えようかと思ってたんだけど…。」
朔哉
「でも俺着替えねぇよ?」
新一
「俺の小さくなったやつ持ってくるからそれ着とけ。」
蘭
「じゃあ私布団持って来ようか?」
新一
「あぁ頼む。確か母さん達の寝室のクローゼットに客用の新しい布団があるはずだからそれ持って来てくれ。」
蘭
「分かった。」
新一
「着替え持って来るから大人しくしてろよな?」
朔哉
「わ、分かった…。」
ぽつんと1人残された朔哉。
ふと部屋を見渡せば自分の部屋に居る事を今更ながら把握した。
青を中心に揃えられている朔哉の部屋。
イルカが好きなのかイルカのぬいぐるみが沢山ある。
机の上には調教師とイルカと幼い頃の新一と朔哉が一緒に写ってる写真も飾られている。
朔哉
「…俺の部屋…本当に帰って来たんだな…。」
(俺の居場所…。)
蘭
「布団持って来たよ~。これで…」
朔哉
「……。」
蘭
「どうしたの?」
朔哉
「!あっ、いや何でもない。」
蘭
「?それならいいんだけど。布団変えるね?」
朔哉
「ありがとう。」