第4章 2度目の事件
あの中に何を入れているのだろう。
そう少し考えてはみたのだが、私はお兄ちゃんと違って推理型ではなく直感と思いつきで動くタイプ。
「運転手さん」
考えて思いつくはずもなく、なんとなくで今唯一の話し相手へと声をかける事にした。
「スーツケースに大量に何かを入れて運ぶってなると何を運んでると思う?」
運転手
「スーツケース?そうだなー」
突然すぎる質問に当然驚いてはいたが答えてくれるらしい。
こんな質問をいきなりしても不審がられないなんて、これこそ子供の特権だろう。
唐突すぎた事に反省しつつもその返答をドキドキしながら待った。
運転手
「やっぱスーツケースなら仕事道具とかじゃないか?」
「あー、そういうのじゃなくて…」
確かに普通思いつくのはそれだ。
でもあの量は仕事道具にしては違和感があった。
「現実的な物じゃなくてドラマとかでありそうな…、犯人が持ってそうな物!」
運転手
「ドラマの犯人って言ったらそりゃ札束でしょ!スーツ着てる悪い人が持ってそうじゃないかい?」
「…札束!」
札束と言えば最近盛大なニュースになっていたではないか。
確か博士が話していた強盗殺人で盗まれた金額は10億円。
スーツケースの中身が10億円だとするとあの量は違和感どころか納得がいく。
とはいっても実際に10億円なんて大金をもちろん見た事はないので憶測の域を出ないのだが、いい線いっているかもしれない。
運転手
「それ心理テストだろう?ちょっと独特だが…」
「あ、そうなんですよ」
運転手
「やっぱり。うちの娘も母さんに答えてもらってたんだよ」