第4章 2度目の事件
おじさんは知らないと言われると思っていたのだろうが、写真を見たフロントの人の反応は求めていたものだった。
フロント
「ああ!こちらのお客様でしたら数日前からご宿泊されていますよ」
蘭
「うそ!?」
フロント
「確か802号室に……」
あまりにも驚く蘭姉ちゃん達に戸惑いながらも部屋まで教えてくれた。
お客さんの事をそんなに簡単に教えてもいいのだろうかと思いつつも、最後まで言葉を待たずに走り去って行くお兄ちゃんの背中を追う。
小五郎
「あ、コナン!音羽ちゃんまで…!」
そんなおじさんの声を聞きながらエレベーター前で立ち止まった私達は顔を見合わせた。
「……生きてるといいね」
コナン
「……ああ」
もちろん私達が願っているのは雅美さんの生存だ。
でも広田 健三さんの事件からもう日にちも経っている所から、生きている可能性はかなり低いとお互い言わなくても分かっていた。
小五郎
「まったく急に走り出すなんて……」
エレベーターがくるのを待っていた私達に追いついてから始まったおじさんの小言を流していると、やっと1階に到着したようだ。
お兄ちゃんはすぐ飛び込もうとしたが、中にはたくさんのスーツケースと共に降りてきた人がいる。
女性
「あ…!」
しかもその人はエレベーターから出ようとスーツケースの乗った手押し車を押した際に引っかかったのか、目の前で落としてしまった。
女性
「すみません…」
小五郎
「あ、いえいえ」
早く上に行きたいという態度を隠しきれないまま、おじさんとお兄ちゃんはスーツケースを手押し車に置き直すのを手伝っている。