第4章 2度目の事件
どうしてそんな事になったのかはわからないが、単純に躓いて転んだわけではないだろう。
ただ気になるのはおじさんが何してんだと言わんばかりの表情で見つめている中、自身が座るソファーへと子供が飛んで来たのに何も反応しない雅美さん。
コナン
「へ…?」
子供が苦手なのだろうかと不思議に思っていると、雅美さんを至近距離で見たお兄ちゃんが声を出した。
「あ…」
雅美さんは俯いて泣いていたのだ。
広田 雅美
「小さい頃に母を亡くして、父はたった1人の身寄りなんです…」
蘭
「雅美さん…」
広田 雅美
「もし父の身に何かあっていたとしたら私…。私…」
私は海外にだが両親はもちろんいる。
だから気持ちを同じように理解する事は難しいが、雅美さんの状況を想像しただけで苦しくて悲しい気持ちになってしまう。
彼女はいったい、どれだけの不安を抱えてここまで来たのだろうか。
そう思うと私まで泣きそうになり、ただ雅美さんを見つめるしかなかった。
*✿✿✿✿✿*
あれから1週間経った。
受験を控えている私は学業に忙しくしていてあまり関われなかったが、蘭姉ちゃんとお兄ちゃんはおじさんと共に雅美さんのお父さんを探していた。
そしてついに広田 健三さんを見つけたのだった。
「さすがおじさん!雅美さんも喜びますね」
小五郎
「いや〜、俺にかかればこれくらい…」
警察でも見つけられなかったのに、こんなにも早く見つけてしまうなんて本当にすごい。
喜んでくれるであろう雅美さんの到着を待ちながらこんな事を話していると、お兄ちゃんが首を振った。