第4章 2度目の事件
広田 雅美
「東京に出稼ぎに来てた父がもう1ヶ月間行方不明なんです。働いていたタクシー会社も辞めていて、警察にも探してもらったんですがダメで…」
警察でも見つけられなかったから最後の頼みの綱としてここへと来たようだ。
元気のなさの理由がわかり、心が痛む。
おじさんにもその切実さが伝わったようで、すぐに引き受けると伝えてあげていた。
広田 雅美
「これが父の広田 健三です」
小五郎
「体格は?」
広田 雅美
「身長は170cm、年齢は48歳です」
父親の写真を持つおじさんの手元を覗き込む。
猫と一緒に写っている、どこにでもいる優しそうなおじさんだ。
雅美さんからの情報では目立った特徴もないようだ。
これは探すのは大変だろう。
小五郎
「この猫は?」
広田 雅美
「それは父が飼っている4匹の内の1匹で、その子はカイ。他にテイとゴウとオウって子もいます」
小五郎
「猫と暮らしていたんですな。他に癖などは…」
どんどん情報を聞き出していくおじさんに比べ、私の隣のお兄ちゃんは興味がないようだった。
それとは反対に殺人事件よりこんな事件の方に興味がある私は、話を聞いて引っかかる点を見つけていた。
広田 健三さんは出稼ぎの為に雅美さんを置いて東京に行ったと話していた。
それほどお金が必要な家庭だと思われるのに、わざわざ東京でまで猫を4匹も飼うだろうか。
かなりの猫好きという可能性もあるのでおかしいとは言いづらいが、違和感は感じてしまう。
コナン
「うわ…!」
そんな事を考えていると、お兄ちゃんが雅美さんが座るソファーに向かってコケてしまった。