第2章 留守番後の衝撃
それに蘭姉ちゃんの周囲の音はとても静かだ。
今はトロピカルランドにはいないらしい。
蘭
「新一、帰ってきてる?」
「まだだけど…」
蘭姉ちゃんはもう家にいて、かなり前にお兄ちゃんと別れているのだろう。
なのにうちの兄は帰って来る気配もない。
「探偵事務所からそんなに遠くないし、もうすぐ帰ってくるんじゃないかな?」
それでもトロピカルランドから蘭姉ちゃんの家に近い道で帰ったのならお兄ちゃんの方が遅く帰ってくるはずだ。
そう思って蘭姉ちゃんを安心させるように声をかける。
蘭
「でもね?遊園地から帰る途中で新一、先に帰ってくれっていなくなっちゃったの」
「…一緒に帰ってきたんじゃないんだ」
蘭
「うん…。別にそれだけ聞くとよくある事だけど、なんか今回は嫌な予感がして…」
もう新一と会えない気がした。
蘭姉ちゃんが小さく呟いたその一言に、私もただ事じゃないとようやく理解させられる。
「ちょっと家の周り見てくる!」
蘭
「え!?もう暗いから私が…」
そうと決まればすぐ行動だ。
蘭姉ちゃんの返事も聞かずに電話を切り、ルームウェアな事も気にせず外へ飛び出した。
*✿✿✿✿✿*
外は雨が降っていた。
こんな天気の中、あのバカ兄貴はどこにいるのだろうか。
適当な傘を取って雨の中に飛び込む。
そして外に向かおうとしたのだが、すぐに歩みを止める事となった。
「子供…?」
目に入ってきたのは、うちの家の門によじ登ろうとしている人影。
それだけ聞くと怖いが、その人影はどう見ても小さな子供の物だ。