第3章 毛利探偵事務所
なんとかしてお兄ちゃんを助けようと立ち上がろうとした時にまたあのタイヤが目に入った。
「これを使えば…」
そう、これがあればお兄ちゃんは反撃できる。
「お兄ちゃん!」
コナン/阿部 豊
「!?」
「これで反撃…!!」
突然聞こえてきた私の声に2人は一斉にこちらを見る。
そして間髪入れず、タイヤを思い切りお兄ちゃんの前へ向けて転がした。
お兄ちゃんならきっとこの意味がわかるはずと信じて。
コナン
「サンキュー!」
ニヤリと不敵な笑みを浮かべたお兄ちゃんは、お礼を言って靴を操作した。
さすがお兄ちゃん。
ちゃんとタイヤの意味が伝わったようだ。
阿部 豊
「まだガキが…!」
阿部さんも私の存在を確認してこちらへ来ようとするがもう遅い。
コナン
「くらえ!!」
阿部 豊
「!?」
お兄ちゃんが蹴ったタイヤはキック力増強シューズのパワーで強化されたお陰で、想像以上の速度と威力で飛んでいく。
もちろんコントロールは完璧な為、綺麗に阿部さんの顔に直撃していた。
コナン
「ふぅ…」
「お兄ちゃん、大丈夫…?」
コナン
「なんとかな」
暗いため分かりづらいが、見た感じ怪我は顔のすり傷くらいだ。
でも首を締められたり車に思い切りぶつけられたりしたので絶対にどこかは痛めているはず。
帰ったら蘭姉ちゃん達に気づかれないように手当てしなくてはいけない。
「あれすごい威力だったけど、阿部さんは…?」
尋常ではない速さのタイヤが顔面へと直撃したのだ。
倒れてピクリとも動かない阿部さんの方へと視線をやると、お兄ちゃんは慎重に近づいて行く。
コナン
「気を失ってるだけだな」