第3章 毛利探偵事務所
その言葉にようやく安心できた。
「じゃあこれで一件落着って感じ?」
コナン
「ああ。後は目暮警部達を呼んでくれば終わりだ」
これからお兄ちゃんの仕業だとバレないように阿部さんを警察へと引き渡さないといけない。
「直接呼びに行ったらまずいだろうし…」
コナン
「大丈夫。ちゃんと手は考えてあるよ」
悩む私にそう言って、お兄ちゃんは録音機を阿部さんの体の上へと載せる。
これで自白の証拠は警察の手に渡るだろう。
コナン
「じゃあこいつが目を覚ます前に警察の前で一芝居といこうじゃねーか!」
「また!?」
コナン
「早く行くぞー」
また私に嘘をつかせる気らしいお兄ちゃんは、私の不満など気にせず歩いて行ってしまう。
いつか絶対にお父さんに怒ってもらおう。
こうしていつかの予定を追加し、渋々私は後を追いかけた。
*✿✿✿✿✿*
「…ん」
明るさを感じて目が覚めた。
休日だが蘭姉ちゃんが部屋にいないのでいつもより遅い時間だとすぐにわかる。
本当なら飛び起きるところだが、殺人犯を目の前にし、兄が殺されかけ、何度も何度も嘘をついた。
こんな濃すぎるできごとを昨日だけで経験したのだ。
疲れから動く気になれないのも仕方ない事だろう。
「こんなの続いたら私死んじゃう…」
心の底から出たこの言葉は昨日、蘭姉ちゃん達と合流する前にも言った言葉だ。
それに対してお兄ちゃんは、将来の為の勉強って思えばいいなんて無責任な言葉を返してきたのを覚えている。
でもお兄ちゃんの言う通り、あの時の警察学校のお兄さん達もこんな経験をしながら警察への道を進んでいたのかもしれない。
そんな風にまともに顔すら思い出せない彼らの事を思いながら、私はこの睡魔に抵抗せず身を任せる事にした。