第3章 毛利探偵事務所
コナン
「どう?合ってた?」
そしてお兄ちゃん自身も、阿部さんが自分をみつけた事に気がついている。
コナン
「さっき刑事さんが事件の事話してて僕なりに推理してみたんだ!」
子供らしい口調で話しながらお兄ちゃんはボンネットから飛び降りて、阿部さんの前へと歩み出た。
コナン
「でも根岸さんの代役に選んだ人は失敗だったね。写真見たけどあの人は根岸さんと違って左利き、証拠もあるし自首しなよ」
阿部 豊
「ふっ…」
完璧に言い当てられたはずだ。
自分のトリックを完全に見破られた犯人はどういう行動をとるのだろうか。
子供だからと相手にしないでおくか、それとも危険な芽は摘み取る可能性もある。
阿部 豊
「偉いぞ、ボウヤ!名推理だ!」
「…笑ってる」
なぜか阿部さんは笑っていた。
私の予想と反して笑いながらお兄ちゃんの頭を撫で、褒めている。
阿部 豊
「だが私は自首はせんぞ!外国でのんびり過ごすんだ」
コナン
「でも僕、おじさんが白状した事言っちゃうよ?」
阿部 豊
「誰も信じてはくれないよ。子供が言った事なんてね…」
ここにはお兄ちゃんしかいないとわかったのだろう。
そう言って、さっさと立ち去ろうとしている。
そんな阿部さんを止めたのはお兄ちゃんの一言だった。
コナン
「でもね、おじさん。おじさんの言葉ならみんな信じてくれるでしょ?」
お兄ちゃんの右手にあるのは録音機。
再生ボタンを押すと、先程の自白が流れ始めた。
これを刑事に渡されたら阿部さんは終わりだ。
立ち止まった阿部さんの表情はここからは見えないが、どこか空気が変わったように感じる。