第3章 毛利探偵事務所
そして身を隠してすぐの事だった。
「…!」
暗く静かな駐車場に鳴り響く1人分の足音。
誰かがこちらに近づいてきている。
その足音がすぐそばまで来た時、お兄ちゃんが動いた。
コナン
「うまい事考えたね、おじさん」
阿部 豊
「っ!」
お兄ちゃんの声の後に誰かが息を呑んだ。
私がいる場所からは誰かは見えないが、恐らく阿部さんだろう。
コナン
「根岸さんが死んだのは本当は火曜の夜なんでしょ?」
阿部 豊
「だ、誰だ!?」
コナン
「殺したのはおじさんが旅行に出かける前の日だ」
声に向かって歩いてきたお陰で阿部さんの姿は私からも見える位置に来た。
でもどこからこの声が聞こえているのかがわからないようで、辺りを見渡している。
コナン
「そしてその次の日に根岸さんそっくりな偽物を毛利探偵に尾行させた。根岸さんが水曜日まで生きていたと思わせるためにね」
阿部 豊
「………」
コナン
「あらかじめ祭りの日時を調べていたおじさんの計画通り死体は木曜の夕方に発見される。矢倉の火で燃えた死体からは死亡推定時刻が割り出せず、結局毛利探偵の証言から死んだのは水曜の夜から木曜の夕方という事になった…」
阿部さんは声の主を探しながらも先程のように声を出す事はなかったが、お兄ちゃんの推理を聞いてどんどん顔が青ざめていく。
コナン
「そしておじさんは金曜の夜、何食わぬ顔で旅行から帰ってきた。これでアリバイ成立だ!」
阿部 豊
「!?」
「!」
アリバイトリックを話し終わったお兄ちゃん。
それと同時に、阿部さんは話している人物をみつけたようだ。