第3章 毛利探偵事務所
コナン
「ああ。博士が作ってくれた蝶ネクタイ型変声機で電話したんだよ」
「じゃあ阿部さんのアリバイ崩したのもお兄ちゃんってことか…」
てっきり警察が頑張ったのかと思ったが、全てお兄ちゃんがやった事だったようだ。
小さくなっても推理力と行動力は相変わらずらしい。
コナン
「それより頼みたい事があるんだ」
「え?」
コナン
「今から探しても搭乗手続きには間に合わねー。だから奴を誘い出すんだ!」
そう言ってお兄ちゃんは私の手を引いてどこかへと走り出した。
*✿✿✿✿✿*
「すみません。呼び出しをお願いしたいんですけど…」
空港職員
「はい。どなたをですか?」
お兄ちゃんの指示で、私は職員の人に声をかけていた。
もちろん呼び出す人はあの人。
「阿部 豊さんをお願いします」
空港職員
「阿部 豊様は…、もうすぐの便ですね。関係性を伺ってもよろしいですか?」
素直に言えば一方的に知ってるだけで私は会った事すらない。
だがそんな事を言えるわけもなく、笑顔で適当に考えた設定を口に出す。
「父の友人です。渡さなきゃいけない物があるのに連絡がつかないみたいで」
空港職員
「そうなんですね。では、こちらにお呼びしてもいいですか?」
どうやら疑問に思われなかったらしい。
でもまだ安心はできない。
ここに呼ばれるとお兄ちゃんの作戦通りにいかないし、この人にも私が知り合いではない事がバレてしまう。
「あの…、車に荷物があるので根岸 正樹が正面の駐車場で待ってると呼んで欲しいのですが…」