第3章 毛利探偵事務所
蘭
「そんな事だろうと思った」
何ともおじさんらしい答えに蘭姉ちゃんは呆れているようだったが、私が注目したのはそこではない。
コナン
「…アリバイか」
「………」
私と蘭姉ちゃんの間でそう呟いたお兄ちゃん。
見た目こそ子供なのだが、今のお兄ちゃんは事件に挑んでいる時の工藤 新一の顔をしていた。
*✿✿✿✿✿*
「お風呂ありがとうございましたー」
お風呂から上がって来ても家に人の気配がなかった。
多分まだ事務所の方で頭を悩ませているのだろう。
そう思って、私も下に降りる。
「おじさん、お風呂先にありがとうございました」
小五郎
「おう!蘭も早めに入ってこいよ?」
蘭
「はーい!」
おじさんのデスクには大量の写真が広げられていた。
やはりまだここで考えていたらしい。
さすが探偵と感心していると、お風呂へ行く前との違いに気づく。
「コナンくんは?」
蘭
「え?さっきまでいたのに…」
どうやら蘭姉ちゃんは、私が聞くまでここにいるのだと思っていたようだ。
つまりお兄ちゃんは誰にも言わずにここを抜け出したという事になる。
小五郎
「上にいるんじゃねーのか?」
「あー、お風呂にいたから家にいるの気づかなかっただけかも」
とりあえずこうは言ったが、玄関にお兄ちゃんの靴はなかったはず。
家に行かれると本当にいないと気づかれてしまうが、それまでに戻ってくるだろうか。
平静を装いながらも様子を見に行くなんて展開にならないよう私は祈っていた。
小五郎
「おっ」
そんな私を救うように鳴り響いたデスクの上の電話。