第3章 毛利探偵事務所
「50万!?」
それは高いなんて話じゃ済まない。
そんな事をするのは余程の変わり者か金持ちか、あるいは纏まった金が近々手に入る人くらいではないだろうか。
蘭
「なんでそんなに怪しいのに捕まえないの?」
小五郎
「それがアリバイが完璧でな…。しかもそのアリバイを証明してるのが俺なんだよ」
コナン
「おじさんが?」
お兄ちゃんの言葉におじさんは頷くと、青になった横断歩道を渡り始める。
どうやらおじさんはアリバイに関わっているから刑事さんとの話が長かったようだ。
小五郎
「死体が発見されたのが火祭のあった木曜の夕方。そしてその前日の夜までは俺がずっと尾行していたんだ」
「その間の時間にもアリバイがあったんですか?」
小五郎
「ああ。奴は水曜の朝から金曜の夜にかけて自分の会社の社員旅行に行ってたんだよ」
旅行に行っていたのなら証人も多くいるはず。
会社の人間がグルだったとしても、監視カメラを調べたり飛行機の搭乗記録を調べればすぐにバレてしまうだろう。
「じゃあアリバイは完璧ってわけですね」
阿部 豊さんが被害者を殺害できるのは旅行に行く前だけだ。
だが、その期間はおじさんが尾行をしていたので当然不可能となる。
蘭
「それじゃあなんでその人にこだわるの?無理なんでしょ?」
小五郎
「ふっ…」
私も蘭姉ちゃんもこの状況では他の人が犯人である可能性が高いと感じていた。
それでもおじさんが譲らないのはなぜなのか。
不思議に思って蘭姉ちゃんの言葉に笑みを零した背中を見つめる。
小五郎
「俺の探偵の勘ってやつだな!」