第2章 留守番後の衝撃
書斎の外にはお兄ちゃんが今日着ていた服が置いてあったはずだし、靴なんて濡れた後を残して脱いだまま玄関に放置してある。
そんな風に少し考えれば簡単に気づかれてしまいそうな嘘。
頬が引き攣りそうになりながらも、なんとかいつも通りを意識して言い切る。
蘭
「それならそう言ってくれればいいのに…、本当に推理バカなんだから」
新一
「うっせぇなー」
「あ、バカ…」
蘭姉ちゃんは疑う事なく、納得してくれた。
それなのに、推理バカという言葉に反応してあっさり声を出す本当にバカなうちの兄。
蘭
「え?そこに誰かいるの?」
阿笠博士
「い、いや…」
さすがに誤魔化せない。
「…出ておいで」
庇いようがないので、自分のミスは自分で尻拭いさせようと机の向こうに呼びかけた。
お兄ちゃんももう出てくるしかないとわかっているのだろう。
ゴンッと何かにぶつかるような音を立てた後、ゆっくりと姿を見せる。
蘭
「子供…?」
恐らくお父さんの物であろうメガネをかけて出てきたお兄ちゃん。
小さい頃のお兄ちゃんと一緒にいた蘭姉ちゃんなら気づいてしまうかもしれないと、ヒヤヒヤしながら私は2人を見守る。
蘭
「この子どうしたんですか?」
阿笠博士
「ワシの遠い親戚の子じゃよ」
こうやって聞かれる事を想定していたらしい博士は、スラスラとそう説明していた。
蘭姉ちゃんは頷きながらお兄ちゃんへと視線を戻す。
蘭
「僕いくつ?」
新一
「じゅうろ…じゃなくて、6歳!」
「はぁ……」
一瞬ヒヤリとさせられる返答。