• テキストサイズ

ご主人様と猫。【東リベ/三途】

第1章 ご主人様と猫。猫のお話。




手枷の鎖を引く人間は、部屋に向かう途中悠に告げた。

「お前を買った人は、噂じゃ犯罪組織の幹部だそうだ」

犯罪組織、と口の中で小さく呟く。
テレビのニュースで聞いたことがある言葉だ。現実味がまるでない。

「良かったな。八千五百の方じゃなくて」

「………?」

どちらにせよ、買われた事実に変わりはない。
けれど。

「アイツ結構界隈では有名でさ。定期的に少女を買いに来るんだよ」

な?と悠の背後の二人に声を掛ければ、二人も頷く。あまり好かれた人ではなさそうな雰囲気だ。
言われた意味が理解出来ずに悠はただ首を傾げた。

「定期的に、だ。買われていった少女が、何処でどうしてるのかは誰も知らないんだと」

「………?」

可哀想にな、と吐き捨てるように言った。
だから犯罪組織の幹部であるその人が良い、と言う意味でも勿論ない。


二億。一体自分の何にそんな価値があるのだろう。臓器?それとも…?
売られた人間がどうなるのかは、買った人間にしか分からない。


元より返る場所もない。
だからこそ、こんな所に居るのだが。





/ 23ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp