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ご主人様と猫。【東リベ/三途】
第1章 ご主人様と猫。猫のお話。
逃げようにも逃げられる訳もなかった。
会場内は警備も厚い。舞台上には悠ひとりきりだが、舞台袖には幾人かの人間が居るのを見て知っていた。観客も、こんな所に出入りして金を落とす人間だ。“商品”である悠を逃がしてはくれないだろう。
元より無防備で何の取り柄もない一般人の悠では、行動を起こしてもすぐに捕まるのが目に見えていた。
それでも悠の手首には重圧な鉄の手枷が嵌められている。少し動く度にじゃり、と重い鎖が音を立てた。
手枷には売買の為の識別コードが付いている。
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