第2章 ご主人様と猫。ご主人様のお話。
まぁまぁの値だ。
若い日本人女性はそれだけで高額となる。ただの趣味嗜好だけではなく、娼婦として金を生み出す使い道もあるし、仕込めばハニートラップの要員にもなる。不都合があれば消せばいい。その意味では次いで外国籍の女性、それから日本人男性と値は続く。
今日は今舞台にいる目玉の女と、もうひとり女が競りにかけられた。先に出た外国籍の女は六千万程で止まったか。それはたぶん、この目玉の日本人女性が後で控えていたからの値だろう。
そうした絶妙な値の変動があるから、オークションは読み辛い。これが、幹部である人間が此処にいる理由のひとつだと、理解はしているが。
こんな面倒臭ェ事ちまちまやってンなら、裏でバイヤーを締めて奪い取ればいい。
此処に足を踏み入れれば、毎回同じ考えが頭を過ぎる。
(そしてそれを声に出せば九井に嫌な顔をされる)
俺には不向きだ。