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ご主人様と猫。【東リベ/三途】

第1章 ご主人様と猫。猫のお話。




後ろに控えた違う人物に合図して、手枷のコードを読み取る。ピッと機械音が鳴り、盆に乗った鍵を悠を買った男性に掲げた。
その人は鍵を指で摘み持ち上げる。

「今時手枷なんて、趣味悪ィな」

目を細めてその鍵を見ながら、小さく独り言のように言う。

「喜ぶお客様も多いのですよ」

ゾッとするような事を売人は笑顔で言う。
それに、悠を買った男性は不快そうに眉間に皺を寄せた。それから鍵と悠とを見比べる。

悠もやや遠慮がちにその人を見た。よく見ればやはり綺麗な顔立ちの男性だった。
その瞳が悠の顔を捉える。

目が合って、悠は口を結んで俯く。

綺麗な顔のその人は、笑うでもなく無表情に売人を振り返った。

「部屋をひとつ借りたい。ンな小汚ない服じゃ連れて帰れねェからな。新品の服、たぶん何処かに用意されてるんだろ?無いなら今すぐに用意しろ。何でもいいから一式持って来い」

言われて売人の男性は、かしこまりました、と立ち上がり頭を下げる。

「では、此方の応接室をお貸ししますので今しばらくお待ち下さい」

「あんまゆっくりする義理もねェ。早めに持って来い」

その人はソファで足を組み替えて売人に言う。

「かしこまりました。何かございましたら、扉の前に見張りがおりますので何なりとお申し付け下さい」

では、ともう一度頭を下げる。あくまで売人と客なのだろう。
そのまま周囲に居た係の人間を連れて大きな扉から出て行った。





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