第1章 この世に生まれたからには
俺は家族に大層、可愛がられて育てられてそうだ。俺が少し大きくなって1歳を迎えた頃には兄のジェームズは3歳になっており、保育園に通うようになっていた。俺が兄と最初に喧嘩したのはおもちゃの取り合い。しかし、大抵怒られていたのは兄のジェームズだった。
「お兄ちゃんなんだから弟に譲りなさい。」
母が兄を叱った。
「これは僕のロボットだ!」
当時、俺と兄はロボットのおもちゃにハマっており色々買ってもらっていた。そして俺が3歳になる頃には2人でロボットとヒーローに扮して戦いごっこをするのが流行っていた。
俺は3歳になって初めて保育園という大きな施設に入れられた。いや、入れられたというよりかは預けられたという方が正解かもしれない。
保育園では朝の挨拶が終わるとお庭で友達と砂場で遊んだり、戦いごっこをしたりブロックで遊んだりした。そしてお昼になると先生とクラスのみんなとお弁当を食べた。
お弁当は平日の5日間の間、母が作ってくれたお弁当だ。工夫をこらしたキャラクター弁当が最初は出てきたが面倒くさくなったのか次第に弁当の配置は適当になった。それでも母の作ったお弁当は美味しかった。午後は先生が絵本を読んでくれてお昼寝をしてから帰宅。母が兄と一緒に迎えにきてくれた。とても嬉しかった。こうして幼少期はごく普通に満足に過ごしていた。
しかし、俺が小学校に上がる頃には気持ちの変化が表れた。
もっとイタズラをしたいという欲に駆られるようになった。イタズラといえばアメリカでは毎年、4月1日のエイプリルフールに人を騙すのが定番だ。かのハリウッドスターは面白いイタズラを考えて毎年の、国民をあっと驚かせる。しかし、俺の場合はそんなに大きな仕掛けのあるようなイタズラじゃなくても最初はいいと思った。
イタズラをした後に"はい、ドッキリでしたー"と種明かししたらどんなに面白いだろうかと。
周りの怯えていた人や警戒心を強めた人がどんなにほっと安堵するのかを間近で見たかったのだ。そこで色々考えることにした。