第1章 異世界からこんにちは
「……君のページには、君はスタンド使いで、スタンドの名前は〈偽りの部屋〉だと書いてあった。つまり、自覚していないだけで君もスタンド使いなんだろうな」
「えっ、〈偽りの部屋〉!?」
〈偽りの部屋〉……今、確かに露伴先生はそう言った。
彼の本に書いてあるのならば事実なのだろう。私はスタンド使いなのだ。名前は〈偽りの部屋〉──ああ、すっごく聞き覚えがある。
〈偽りの部屋〉は、私が考えたオリジナルのスタンドだ。『僕の考えた最強のスタンド』みたいなそういうやつ。
実はこの〈偽りの部屋〉は、私の妄想の中にも登場していたり……。
まあつまりは、この〈偽りの部屋〉は私の妄想であり、本来私はスタンド能力を持たないただの一般人なのだ。トリップしている時点で一般人枠から外れているだろう、と言う異論は認める。
そんなオリジナルのスタンドが、今、私の能力としてこの世界に存在しているらしい。何それ!?
「スタンドの存在しない異世界出身にもかかわらずスタンド能力を持つ人間……か。面白いじゃあないか!」
「トリップするにあたって貰えたギフト的な感じなのか……? それともあれかな、夢では〈偽りの部屋〉を使えたから、それと同じノリなのかも……」
露伴先生が何やら嬉々として声を上げていたが、思考の海にどっぷり浸かった私には、その声は届かなかった。