第1章 異世界からこんにちは
「──さて、〈天国への扉〉で把握はしたが、君の口からも聞いておきたい。今から質問をするが、ちゃんと答えてくれよ?」
本として炙り出された色々を読まれぐったりとしていた私は小さく頷いた。
もう声も出せない……。文章を読まれただけなんだけど、プライバシーとかがなさすぎて気持ち的に辛いものがあるというか……。
露伴先生に手を引かれて向かった先は、彼の家。
私は今、仗助くんと露伴先生がチンチロリンをしていたあの場所にある椅子に座っている。
「君はどこから来たんだ? その世界の特徴は? 〈異世界〉とは書いてあったが……もう少し詳しく知りたい」
「いやほんとに、別の世界から来たとしか言えないですよ? 普通に日本なので……。ああ、違うところと言えば年代ですかね。私は二〇二三年から来たので。──あ、それと」
「……それと?」
「私の世界には、スタンドはありません。というか超能力そのものがありませんね」
私がそう言うと、露伴先生は首を傾げた。どうしたんだろうか。
「君はスタンド使いじゃあないのか?」
「えっ。いやいや、一般人ですよ」
「……これが〈見える〉かい?」
これ、と言いながら、露伴先生は左手で指を指した。指し示した方向を見てみると、彼のスタンド──ピンクダークの少年の主人公だ──がいる。
「はい、見えますよ。いやぁ可愛いなぁ──あれ?」
露伴先生を見遣ると、彼は『やっと気づいたか』みたいな顔をしていた。いや、自分のスタンドを見たりしてないんだから気づきませんって……。