第1章 異世界からこんにちは
聞いた事のある声なような気が……。
というかヤバくないか? 突然現れたって言ってたから、明らかに私が『おかしい』存在なのがバレているって事なんじゃ……。
恐る恐る振り返ると、そこには──岸辺露伴先生が、いた。
「──!?」
私はあまりの驚きに声にならない声を上げた。
いよいよトリップが現実味を帯びてきた気がする。
紫色のトップスに、黄緑色の上着(と言うのが正解なのかは分からない。私はファッションには詳しくないから……)と、だぼっとした白色のズボンを着用している露伴先生。ヘアバンドもつけている。
これは、私がアニメで何度も見た服装だ。
彼は私を訝しげに見つめ、そんな視線を浴びている私は返す言葉が思いつかずに無言を貫いている。
露伴先生も何も言わないから、必然的に沈黙が訪れた。
静まり返った空間の中で、何とか言い訳を思いついた私は口を開く。
「えっと、マジック……ですかね」
「そんな訳ないだろう。──〈天国への扉〉!」
「あーっ!!」