第1章 1章
「紫原!!遅いぞ!!!何をしていた!!」
学校に着いてからは監督の怒涛の説教ラッシュだった。
先に着いていた室ちんがやれやれといった表情でこちらを見ている。
視線を少し動かせば先輩達が練習をしているのが見える。
あぁ、眠いのと冷えた頭に説教が辛い。
ぼーっとする…
「──〜で…って聞いてるのか紫原!!」
「聞いてるって〜」
「罰としてシュート千本だ!!」
「マジ〜? うげぇえ……」
ただでさえ練習は嫌いなのに今日はとことんツイてないらしい。
俺はため息をつきながらボールを手に取った。
✼••┈┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈┈••✼
「999本目……… 飽きた……」
最後の一球を残してぐったりとする。
別に疲れた訳じゃないんだけど……
いや、別の意味で疲れてるか。
汗を拭って呼吸を整えるために深呼吸をする。
…そういえば。
「あの子…ちゃんと病院着いたかなぁ…?」
朝出会った彼女。
見た感じちょっと小せぇしひ弱そうだし…
俺が握ったら潰れちゃうんじゃね?
…って感じだったか。
「紫原!危ないっ!!」
「え?
ンガッ……!」
迂闊だった。
先輩達の方から飛んできたボールに気付かず顔面にダイレクトアタックを食らう。
かなり強めのボールだったらしく鼻先に強い衝撃が走る。
不意の出来事に尻もちまでついた。
鼻曲がったらどーすんのこれ。
「いっっってぇ……」
「悪い、敦…止められなかった。」
室ちんが申し訳なさそうにこちらにやってきた。
いや、室ちんがボール止められないって向こうで一体何が起こってんの…
どうやら向こうでは今流行りのバスケドラマの必殺技を真似して遊んでたらしい。
んで俺はその犠牲になった…らしい。
「意味わかんないし〜…あぁもういいや。や〜めた!」
完全にやる気を無くして立ち上がったその時、鼻の辺りにぬるりと生暖かいものが伝う感触があった。
ぽたぽたと床に落ちる赤…
「はぁぁぁ?!最っっ悪!!」