第4章 4章
「俺ね、先生のこと好きだよ。」
「………え」
紫原くんの言葉に心の臓が跳ねる。
「お菓子くれるし、優しいし、可愛いし。
お姫様の話聞いてからさ、段々ちんの事いっぱい考えるようになった。」
私の両腕を掴んでいた手はやがて私の事を優しく抱きしめる。
「…ちんは? ちんは俺の事どう、思ってんの……?」
耳元で囁かれて身体の力が抜ける。
崩れそうになる私の身体を彼は支えてくれた。
確かに紫原くんの事は好きだ。
…だけどそれは生徒として。
恋愛的に好きかと聞かれれば、
まだこの気持ちは分からない……
けど、自分の心の中に引っかかる『なにか』
がそれを訴えている。
「わ……わ…たし……は……──」
気持ちを声に出そうとしたその時、
トントンと扉をノックする音が聞こえて、
「誰かいますー??」
と他生徒の声が聞こえた。
「…答え、待ってるから。」
そう言い残して紫原くんが扉を開けて出ていった。
私はただその場に立ち尽くす事しか出来なかった。