第2章 2章
「そういえばこの写ってるちんお姫様みたいな格好してるけどちっちゃい頃何になりたかったの〜?」
小さい頃の夢か………
私の小さい頃の夢は『お姫様になること』だった。
絵本で読んだ童話みたいに白馬に乗った王子様に迎えに来て貰うのが夢だった。
…まぁ、今はもう大人だしそんな事は無いなと笑ってしまう。
「お姫様にね……憧れてた…かな。
子供の頃はいつか白馬に乗った王子様が迎えに来てくれるって考えてたのよ。」
私は恥ずかしくなりながらそう答えた。
大の大人がお姫様になりたいだなんてバカバカしいって絶対に思われてる。
気が緩んだせいでつい話してしまった。
紫原くんはへぇと頷いて見つめていた写真立てを置いてこちらを向いた。
「──じゃあ……俺がなったげよっか
──王子様。」
「……え?」
今、耳を疑ってしまった。
「王子様になったげよっか」
目の前にいる紫原くんは私にそう問いかけてきたのだ。
「あはは!そんな…よくある子供の頃のただの憧れだよ。王子様なんていないって今は分かってるし…」
私はそう言うが、紫原くんはここにいると言わんばかりにこちらを見つめてくる。
真剣な眼差しに胸が少し高鳴る。
「ちんの夢だったんでしょ?
白馬は……赤ちんじゃないから乗れないけど、白馬に乗れない分、俺がちんの事歩いて迎えに来てあげるし。」
徒歩で迎えに来る王子様って……
少し想像してしまい面白くて笑ってしまう。
紫原くんはむぅと頬を膨らませている。
「ふふ……それじゃあ頑張ってね、徒歩の王子様!」
きっとよくある子供のそういうそれだろう…
私はそう言って紫原くんに笑いかけたのだった─