乙女ゲームの一生徒に転生した私は穏やかに暮らしたい
第2章 情報整理が夢でした
冴ちゃんがこちらに歩いてきて、私と冴ちゃんとの距離が縮む。
えっ何、何でこっちに来てるの!?
「おはよう、雪乃さん! ……私の顔に何かついてたりしたかな?」
彼女はそう言ったあと、私の左斜め前の席に座った。
……えっ。
「い、いや、何もついてないよ……?」
私はそう返すのだけで精一杯で、私の返事は騒がしい教室を転がって消えていく。
見てた事について何か言われたりするのかと思ったけど、『顔に何かついていたか』なんて定番のセリフが彼女の口から出てきただけだった。
そうだった、冴ちゃんの席は、私の席に近い。
彼女が席に座るためには、私の席周辺まで歩かねばならない。
私と冴ちゃんの距離が縮まるのも当然の事だ。
ちょっと気にしすぎちゃっただけか……。拍子抜けすると同時に安心した。
まあ、私が冴ちゃんの事を見てたのはしっかりバレてたから、気をつけないとだけど。