第18章 うちはイタチ part1
「一瞬の事でびっくりしました...」
「大勢で跳ぶのは難しいが、2人なら一緒に跳べる。私はよく長期で任務へ行くんだ。その時の道中にある程度の配置にマーキングしてるんだよ」
早くもオレはヨルさんの凄さを見せつけられた。
「......」
「イタチ...お前の得意忍術はなんだ?」
「オレは手裏剣術が得意です。
あとうちは一族なんで火遁も...」
「そうか...なら、"試したい術"はあるか?」
「え?試したい...?」
今から敵を全滅するのに試したいとは...?
「そうだ...どんだけ修行しても術は実践で出来ないと意味がない。失敗してもいい。試したい術はあるか?」
「......あります。」
今まで出会ったどの上官もこんな発言を言う人は居ただろうか...。大切な任務に失敗してもいいと言う度胸。
「イタチ...このクナイ渡しておく」
「...これは?」
オレの手に渡された特注のクナイ。
持つ柄には何か書かれていた。
「それはある人から譲り受けたクナイだ。それを敵に向かって投げてくれ。後は私がやる」
少し重いぞ。そう言うとクナイを渡し。その手からオレの頭を撫でる。
「!」
「ん!...人間はこうすると不安が消えるって聞いたんだが、間違いか?」
ヨルさんは少し口角を上げた
温かい手...
癒される...
なんだ...
この貴女への期待に満ちた気持ちは?
「ヨルさん」
「ん?」
「オレに貴女の力を...最強を見せて下さい!」
「......良いだろう」
疑いから期待へ心が揺れ動いた瞬間だった