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私が帰る理由

第15章 第三次試験 本選


数時間後本戦が始まる。
時間が迫るにつれ観客席に人が大勢より寄せる。
著名人や大名、一般人や忍び...等
3代目火影猿飛ヒルゼンも席に着く。右腕六棟ヨルはヒルゼンの背後で壁にもたれ護衛に努めた

「......」
(影分身置いておくか...)

「ヒルゼン...影分身置いておく...すぐ戻るよ」
「分かった」

ヨルは誰にも気づかれる事なく、影分身と入れ替わり持ち場を離れる



本体のヨルは会場周りをウロウロと歩き、敵からの迫る攻撃を予測し、位置や地形を確認していた。
「この位置なら...ヒルゼンから死角か......攻めるなら、もう少し右か......」

「よぉ。ヨルじゃねぇか。今日はあの"カカシ"は居ねえのか?」

「......久しぶり。ゲンマ」
額当てのバンダナと終始千本を口に咥えている特別上忍。不知火ゲンマがヨルに話しかける。
「そうか...。今回の試験官はゲンマだったな...」

「嗚呼...それよりもカカシの野郎と一緒に居ると思ったぜ」
「いつも一緒に居ない」
「それなら好都合だ」
「ん?」
「いや...こっちの話だ...んで、なんでこんな所に居るんだ?」
火影様への警護は?とゲンマは不思議そうに尋ねる

「影分身を置いてる...それに......悲しくなるから......かな?」
「悲しく?」
「嗚呼...」
ヨルは空を見上げながら、何か思い詰める。

「.........お前...今日はらしくねえ顔してるぞ」
「え?」
ゲンマはヨルに近づき、そっと頭に手を置く。
「お前らしくねえ......」
「私が?」
「嗚呼...普段のお前なら、どんな状況でも自分を信じ真っ直ぐ突き進む」
「......」
「今のお前は......迷いがある様に見えるぞ」
ゲンマは優しく撫でる

「迷い。そうかもしれない...」
迷い...それは私が右腕としてどう対応すればいいか...
最強六棟ヨルが大蛇丸を手に掛けるのは容易い。だがそれはヒルゼンの為になるのか...
ヨルは迷っていた。
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