第14章 ※束の間ひととき
満月の夜
真夜中の冷たい風が不気味に流れ、桔梗城の風鈴を奏でる
「もう少しで着くな........血の匂い?」
ヨルは方向を変え血の匂いがする方へ伺う。
「!..........お前だったのか.....ハヤテ.....」
そこには無惨な姿のハヤテが、血を流して死んでいた
ヨルはハヤテの側に駆け寄り、ハヤテの身体に手を当てる
「.....分かっていたが、もう....」
死んでいる。
ヨルは静かに目を閉じた。
「.....どうか.....安らかに....」
ヨルは向きを変え桔梗城へ向かう
「また.....死体.....」
ヨルは桔梗城へ降り立つ
桔梗城の屋根に大きく三本の爪の跡を刻んでいる。そして側には音隠れのドス・キヌタが死んでいた
「これは.....お前がやったのか.....我愛羅?」
我愛羅は、ヨルの前に姿を現す
「ソイツが襲ってきた。それに満月はアイツの血が騒ぐ....」
「だから守鶴で殺したのか?」
「お前.....守鶴を知ってるのか.....?」
「私の友達が教えてくれたんでね....」
「.....?」
「いや、こっちの話だ.....
我愛羅は.....寝れないんだな.....」
我愛羅はヨルの問いに答えず、右腕のみを守鶴に変え、ヨルへ攻撃する
だがヨルは一切表情を変えず、迫りくる右腕を見つめる
「そう慌てるな.....守鶴」
邪眼
ヨルは邪眼で我愛羅を睨む
「!!」
我愛羅は自らの意思に反して、右腕がヨルの数センチ前で完全に止まった。
「な、なぜだ!なぜ.....」
「守鶴が私に怯えてるんだよ」
ヨルは守鶴の腕を優しく撫で、我愛羅にゆっくりと近づく。
「!く、来るな!」
「大丈夫だ。我愛羅.....少し眠ろうか...」
我愛羅の前まで来たヨルは、静かに我愛羅の頭を撫でた
「!」
頭を撫でられる.....温かい.....
愛情が分からない我愛羅にとって戸惑いを隠せない